鳥インフルエンザ
オルソミクソウイルス科 |
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大きさ |
80〜120ナノメーター(0.08〜0.12ミクロン) |
(高病原性)鳥インフルエンザは、過密な養鶏場で感染を繰り返し、ウイルスが変異、凶暴化した。 |
鳥インフルエンザ |
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鳥インフルエンザ (低病原性鳥インフルエンザ) |
高病原性鳥インフルエンザ |
軽い症状、もしくは無 |
ニワトリなどを高率に死亡させる |
淡水性カモ類が高い確率で保有 |
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発病 |
鳥インフルエンザウイルスに感染して発病するのは家禽がほとんど。 カモなどの水禽類は抵抗力が強く発症しにくい。 自然界で野鳥は、適度に離れて生活し、 弱った固体は群れと行動できず、脱落する。 |
家禽では過密な場合が多く、伝染しやすい。 家禽は栄養豊かで成長が早いが、病原体も成長が早くなり、 突然変異も起こりやすい。 野鳥では発生養鶏場から流失したウイルスから感染した場合のみ。 |
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アヒルは抵抗力が強く、発症しにくいので、 感染が広まっても気づくのが遅れてしまうことがある。 |
症状 |
突然の死亡率の上昇。 肉冠、肉垂のチアノーゼ、出血、壊死、顔面の浮腫、脚部の皮下出血、 産卵低下、神経症状、下痢。 1〜2日で死亡。 人では結膜炎、肺炎、多臓器不全など。 |
変異 |
人や豚に、人と鳥のインフルエンザウイルスが 同時に感染して、交雑により変異する場合 |
毒性は減少 |
鳥インフルエンザウイルスが 人や鳥の体内で変異する場合 |
強毒性を保つ |
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鳥と人のインフルエンザウイルスでは遺伝的にかなり離れた位置関係にあり、 自然界においては人に感染しにくい。 現在の人インフルエンザウイルスも鳥インフルエンザウイルスが突然変異して生まれた。 |
人インフルエンザウイルス |
鳥インフルエンザウイルス |
ヒトの体温に近い37度前後で増殖 42度では増殖効率が低下。 |
鳥の体温に近い42度で増殖。 |
鳥インフルエンザウイルスは40度前後の鳥の消化管内で増殖するが、 人への最初の感染部位である鼻腔内の温度は約32度。 この低温環境では増殖できない。 |
人への感染 |
鳥インフルエンザウイルスは、鳥の細胞表面の糖質を通して侵入。 鳥以外の生物には、基本的に感染しない。 鳥インフルエンザの酵素は、人体内では働かない。 人に感染した例は、 @
不衛生な養鶏場で感染した家禽の糞を含んだ、大量の埃を吸い込む。 A
食用に処理する際に、感染した家禽の血液を浴びる。 など特殊な場合で、 濃厚な接触を必要とする。 本来、鳥にしか存在しないH5に対する抗体を、 中国南部農家の人は7%が持つ。 この地域ではアヒル、豚、人が一緒に生活している。 豚はインフルエンザウイルスに対する感受性が強く、 鳥インフルエンザウイルスも人インフルエンザウイルスも豚の体内に、 容易に侵入でき、混ざり合って新しいインフルエンザウイルスが生まれることも。 鶏肉や鶏卵を食べての感染例は無い。 人の腸管には鳥インフルエンザのリセプター(感染するための受け皿)が無い。 鳥インフルエンザウイルスは加熱すれば死滅する(75度で一分) 人から人への感染 H5N1鳥インフルエンザによる、 ヒトーヒト感染の可能性が報告されている。 鳥インフルエンザウイルスに有効なワクチンは無い。 人インフルエンザウイルスのワクチンは効果が無い。 人の治療法として、ノイラミニダーゼ阻害剤(商品名タミフル)が有効。 飼育環境を衛生的に保つことと、手洗いが重要。 |
ウイルス |
遺伝子情報を含んだRNA鎖が、たんぱく質の殻で包まれただけの、生物と無生物の中間的存在。 増殖するには @
宿主生物の細胞に侵入し、 A
増殖機能を借りる必要が有る。 その結果、ウイルスの宿主域は限られ、哺乳類に感染するものは哺乳類だけ、鳥類に感染するものは鳥類だけなのが普通。 例外はインフルエンザウイルスで、広い宿主域を持つ。 |
インフルエンザウイルス |
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A型 |
B型 |
C型 |
症状は重い |
症状はやや重い |
軽い |
変化しやすい |
変化しにくい |
ほとんど変化しない |
哺乳類や鳥類に感染 |
主に人に感染 |
主に人に感染 |
A型はさらに亜型に分類され、H(赤血球凝集素)1〜15と、 N(ノイラミニダーゼ蛋白)1〜9の組み合わせで表現される。 人での流行はH1、H2、H3のみ。 (大流行するAソ連型はH1N1、A香港型H3N2) (鳥インフルエンザウイルスはH5、H7) 新型のインフルエンザは、鳥と人のインフルエンザウイルスが、 どちらにも感染する豚の体内で融合、変異して発生。 |