フクロウ
フクロウ目 |
メンフクロウ科 |
2属 18種 |
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フクロウ科 (日本) |
24属 207種 8属 11種 |
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これまで72種の絶滅が確認されている |
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今から8,000万年前にヨタカ目と共通の祖先から分かれた |
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夜行性の鳥類は3%(フクロウ類が7割以上を占める) |
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夜目が利くだけでなく、昼間も見える。 子育てで給餌活動に忙しい時期や、天敵の少ない所では昼にも餌を捕まえたりする。 |
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最小 |
コスズメフクロウ 全長12cm 体重40g以下 |
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最大 |
ワシミミズク、アメリカワシミミズク、シマフクロウ、カラフトフクロウなど |
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梟 |
『鳥』の字の下の四つの点(れっか)の代わりに『木』 木の上にじっと立つ鳥だから。 |
脳 |
聴覚をつかさどる部分に神経細胞の数が多い。 |
耳 |
多くの種では、耳の形、位置、大きさが左右対称でない。 非対称性の耳を持つ動物は一部のフクロウだけ。 |
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対称 |
アオバズク、アメリカワシミミズク、アナホリフクロウ |
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非対称 |
げっ歯類を食べる種 フクロウ、メンフクロウ、カラフトフクロウ、トラフズク、コノハズク |
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位置 |
大きさ |
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トラフズク |
左耳 |
上 |
眼の4倍 |
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右耳 |
下 |
眼の3倍 |
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コノハズク |
左耳が1cm以上高い位置 |
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フクロウ |
左耳が高い位置 |
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メンフクロウ |
左耳が高い位置 |
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両耳時間差により音の水平位置を決め、 両耳内強度差(音圧の差)により垂直位置を決める。 人のように同じ高さだと、水平方向の音源定位は良いが、垂直方向の定位は不十分。 |
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聞き取れる周波数は人とほぼ同じだが、感度が極めて良い。 立体聴ができる。 |
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一般の鳥は耳孔が横を向いているので後ろの音も聞けるが、 フクロウの耳孔は前向きなので、 側方60℃以上の音は感知できない。 そこで、フクロウは必ず餌に顔を向ける。 |
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最も敏感な音域は7〜8kHz ネズミが枯れ草の上を歩く周波数。 雪の下にいるネズミを捕らえることも出来る。 |
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雨が降ると雨音で獲物の音を消してしまうので狩ができない。 |
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蓋 |
柔らかな皮膚と羽毛で覆われる。 |
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顔盤 |
顔がパラボラアンテナ状で集音効果を持つ。 ハート型の顔の表の羽毛は柔らかく、右側の羽毛はやや上向き、左側の羽毛は下向きで、垂直方向の音の感受性が高められる。 右側からの音はほとんど右耳だけに聞こえる。 |
顔盤の周りの羽毛は硬く、人が聞き耳を立てるときに手を耳に当てるのと同じ役目をする。 |
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顔を覆う羽毛の物理的性質により、周波数が増加するに従って上下方向に動き、垂直方向での標的の確認に役立つ。 |
まぶた |
普通の鳥は下まぶたを上に閉じるが、フクロウは上と下のまぶたを同時に閉じる。 寝るときは下まぶたを上に閉じる。 |
瞬膜 |
不透明で丈夫。 (多くの鳥は半透明)(オオコノハズクはほぼ透明) 獲物を捕らえる瞬間や、枝に止まる瞬間に瞬膜を閉じ、眼を守る。 |
眼 |
網膜には色彩を区別する錐状体(コーン)より明暗を感知する桿状体(ロッド)が多く備わっている。 色盲ではないが、色弱的。 不必要な油滴は無色か欠如。 黄斑は浅いか欠如。 ネズミやコウモリは、昼間は眼が見えにくいのに対し、フクロウはコーンをかなり持つので、昼でも人と同程度見える。 ワシタカと違い、近くは見えない。 被写界深度が浅い。 単眼視と両眼視ができる。 |
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眼球 |
普通の鳥 |
扁平 |
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フクロウ |
奥行きのある筒状 焦点距離が長く、遠くの物が大きく見える |
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眼は球形でないので動かせるのはたった2°(人は100°) |
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大きさ |
体重は人の1/90ほどなのに、人とほぼ同大。 |
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両眼の視野 |
人より狭い。(70°) |
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視界 |
普通の鳥より狭い。(110°) ヤマシギ360°、ハト337°、人180° |
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暗闇 |
人と比べて、百倍の感度。 キンメフクロウは10倍。 桿状体の長さ80〜90ミュウもあり、人の60ミュウより長く優れて夜は良く見える。 |
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タペタム (照膜) |
猫の目が光るのと同じで、僅かな光を集めて明るくする。 |
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櫛膜 |
人には無い構造で、格子越しに外を見ると、動くものが良く見えるのと同じで、僅かな光量でも良く見える。 |
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獲物を捕らえるだけなら聴覚が良いだけでも可能だが、
障害物を避けたり、止まり木に戻るには視覚が重要。
白夜 |
夏は白夜となる北極圏に住むフクロウは、明るい中でも活動せざるを得ない。 普通のフクロウ類は暗くなってから活動するが、雛を育てている時は昼も狩をしないと供給に追いつかない。 (シロフクロウは主に昼行性) |
嘴 |
ワシタカ類と違い、視界を遮ることの無い小さな嘴。 丸呑みが主なので、丸呑みできない大きな餌はちぎるのに苦労する。 大きな獲物は脚で運ぶが、小さなものは嘴に持ち替え運ぶ。 |
翼 |
体の割りに大きく幅広の翼なので、自分の体重以上の獲物も運べる。 |
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翼が大きいので羽ばたく回数が少なくてすみ、その分、羽ばたき時の音も少ない。 |
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羽 |
猛禽類中最も寒い地域まで生息。 綿羽がびっしり詰まっているので保温効果が高い。 普通の鳥類より30%近くカロリーを節約できる。 |
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風切羽内弁の縁にやわらかい羽毛(縁毛)があるので、 空気の乱流を減らし、羽音を減らす。(他にはヨタカだけ) 明るい時間帯に活動する種類や、魚食性のフクロウはかなり音を出す。 羽音が静かなのは、獲物に気づかれないためというより、 自分の耳を邪魔されないためと言う説もある。 |
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柔らかいので強い風圧には耐えられず、高速飛行や急降下はできない。 |
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鋸歯状突起 |
多くのフクロウ類では飛行時に最も前になる第十番目の初列風切羽に鋸歯状突起がある。(消音効果) ヨタカには無い。 |
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ほとんど無し |
シロフクロウ、シマフクロウ |
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一枚 |
コノハズク、オオコノハズク |
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二枚 |
コミミズク |
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三枚 |
森林棲フクロウ類、ワシミミズク |
首 |
頚椎の骨は12〜14(哺乳類は7) 鞍状に連結し、スムースに回転できる。 左右どちらからも水平方向に320度せる。 |
首かしげ |
フクロウは正面を向いたまま首をかしげ、頭を上下逆さにできる。 網膜のいろいろな部分に像を写して確認するため。 幼鳥が良く行う。 フクロウは網膜の上半分に視細胞が集中し、下からの像がよく見えるので、 止まり木にいるときは、地上の像が良く見えます。 上を見るときには頭を回転させた方が、上がよく見える。 |
脚 |
毛が生えている |
ネズミ食(噛まれる危険がある) |
毛は生えていない |
昆虫食、魚食 |
獲物を脚で運ぶ場合、タカ類と違い両脚でつかむことはない。
趾 |
基本は前三本だが、第四趾は後ろにも回転できる。 掴むことを意識したときだけ第四趾が後ろになる。 獲物をつかむとき十文字に開き、逃げにくくする。 枝など細いものに止まるときだけ前二本。 平らなところに止まるときは前三本。 歩くときは前三本。 リラックスしたとき、死んだときも前三本。 (インコと同じ。キツツキは死んでも前二本。) |
盲腸 |
ワシタカ類ではごく小さなものが一つだけなのに、 フクロウ類には一対の大きな盲腸がある。 獲物を丸呑みにするので、獲物の腸内容にある植物性の物質を分解することに使われる。 |
そ嚢 |
ワシタカ類と違い、そ嚢を持たない。 |
小食 |
基礎代謝がワシタカの半分なので、餌も半分ですむ。 |
雌雄 |
メスのほうが少し重い。(♂451g〜825g ♀520g〜1020g) 年間を通して雌雄で生活。 |
巣 |
巣作りはオスが窪みを作るだけ。 巣材は使わず、20日ほど。 樹洞が集音装置となり1.5km離れた人家のラジオも聞こえる。 アナホリフクロウは名前は穴掘りだが、ジリスやプレリードッグの古い巣穴を利用し、自分では穴を広げる程度のことが多い。 |
卵 |
穴蔵に巣作りするので、丸くて真っ白。 転がる危険が有ると片方尖る。 模様があれば、自分の卵と識別できるし、天敵には迷彩になる。 |
抱卵 |
抱卵はメスのみ。 三月頃四卵産み、三卵目から抱卵。 孵化は五日ほどずれる。 27〜28日で孵化、40日ほどで巣立ち。 樹洞が集音装置となり、抱卵中のメスは外の情報を分析。 |
ヒナ |
孵化後数日たてば、2〜3日絶食しても死なない。 ワシタカと違い、雛同士の仲が良い。 巣立った雛が一緒にいるのは1〜2日だけ。 |
餌 |
ワシタカ類と違い、屍骸専門の種はいない。 獲物の羽など、あまりむしり取らない。 秋は食欲旺盛。 冬、メスは食欲が落ち、オスから餌をもらう。 |
給餌 |
フクロウやヨタカなど、完全な夜行性の鳥でも、人通りの稀な奥地では昼夜給餌する。 |
アオバズク |
採餌は日没後二時間と明け方が中心 抱卵25日 巣立ち30日 |
脚には黒い針状の羽毛 |
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オオコノハズク |
足指まで羽毛に覆われている。 |
キンメフクロウ |
頭骨において左右の耳の高さが6mm違う。 |
コミミズク |
♂は♀より淡色。 昼も活動 |
ねぐらを出る時間は日没後15.1分 (晴れ16.4分、曇り11.4分) ねぐら入りは日の出前29.4分 |
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シロフクロウ |
あらゆる鳥類のうち、もっとも北に分布。 採餌は昼夜 主に留鳥 |
年を取るほど白くなる。(特にオス) |
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主な餌はレミング レミングが4年周期で大きく増減するので、産卵数も3〜12個と大幅に変動。 |
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ワシミミズク |
北海道で営巣記録あり(亜種カラフトワシミミズク) 九州に飛来するのは亜種タイリクワシミミズク |
コノハズクの声 |
一声鳴き |
ポ |
二声鳴き |
ブッポウ |
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三声鳴き |
ブッポウソウ |
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四声鳴き |
ブブッポウソウ |
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6月に良く鳴く。 20時、3時頃に多く鳴く。 |
トラフズク |
羽角が立つ |
昼に寝ているとき リラックスしているとき |
羽角が寝る |
夜獲物を探すとき |
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羽角は背景に溶け込むためのカモフラージュ。 |
アナホリフクロウ |
他の動物が掘った穴を利用 穴を広げるため、脚が長い。 |
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巣の周りに哺乳類の糞を並べる。 餌である甲虫が糞に集まるので採食効率が高まる。 |
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オナガフクロウ |
昼行性 英名Hawk Owl |
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キンメフクロウ |
一夫多妻のこともある |
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サボテンフクロウ |
体重40.2g フクロウ中最小 |
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スズメフクロウ |
昼行性 |
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メンフクロウ科 |
脚が長い。 眼が小さい。 フクロウ科より眼は良くないが、耳が良い。 実験で全くの暗闇でもネズミを捕らえた。 聞き取れる周波数は100Hz〜10kHzだが、音源定位に適するのは5〜8kHz |
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左耳 |
目より上 |
下向き |
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右耳 |
目より下 |
上向き |
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これにより左耳は右耳より15度下方に感度が良い。 |
シマフクロウは現在ウオミミズク属に分類されるが、ウオミミズク属をワシミミズク属に統合する動きもある。 |
シマフクロウの声 |
オス |
ボーボー |
240Hz |
メス |
ボーォッ |
180〜160Hz 終点が下がる |
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幼鳥 |
ピィーヒュー |
4,110〜2,750Hz |
番いは一生添い遂げる。
シマフクロウの体重 |
オス |
3,200g |
メス |
4,100g |
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初冬に重くなり、春に軽くなる。 |
シマフクロウの食性(%) |
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1 月 |
2 月 |
3 月 |
4 月 |
5 月 |
6 月 |
7 月 |
8 月 |
9 月 |
10 月 |
11 月 |
12 月 |
魚 |
50 |
30 |
40 |
30 |
40 |
80 |
80 |
90 |
90 |
90 |
90 |
85 |
鳥 |
30 |
30 |
30 |
10 |
|
10 |
5 |
|
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|
|
5 |
小型哺乳類 |
20 |
40 |
30 |
|
10 |
|
5 |
|
|
|
5 |
10 |
蛙 |
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|
|
60 |
50 |
10 |
10 |
5 |
10 |
10 |
5 |
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昆虫 |
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5 |
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魚は20cm前後の流線型をしたものを好む。 カレイやカジカは避ける。 22cm以下は丸飲み。 それ以上だと、ちぎって食べなければならない。 引きちぎるときは、頭や内臓はほとんど食べない。 採食は主に夜間だが、繁殖期と冬季は日中も行う。 |
眼 |
黄色い虹彩は黒色の瞳の大きさを変化させ、目に入る光量を調節し、昼と夜の明るさの変化に対応。 狩は目で行う。 (羽音が大きい) |
ペレットの大きさ |
大 77mm×45mm 小 18mm×15mm 平均 41mm×25mm |
卵 |
重さ 89.5g 一日に0.2gずつ減少。 2月末〜3月中旬に1〜2卵。 30日で孵化。50日で巣立ち。 |
子供は二度目の冬が終わるまで親の縄張で過ごす。 これは冬でも餌が取れる場所が限られるため。 このような形態は他のフクロウでは報告されていない。 |